写真美術は、写真という媒体を通じて“美”を造形し、
人間の感性と意志を可視化する行為として定義される。
それは、作品としての「完成」を志向し、社会的評価の体系に属する表現領域である。
この意味において、写真美術は「芸術」の下位概念としての“制度的形態”を担う。
しかし、芸術とは本来、制度的・記号的な価値体系を超越した、
より根源的な「存在の行為」である。
芸術は創出ではなく生成であり、制作ではなく現象である。
その臨界において、美術は芸術へと転化し、
“見る”ことは“在る”ことそのものへと変容する。