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III. 「零」と「ゆらぎ」―存在の媒介

「零」は、安定した静止ではなく、常に揺らぎながら存在する。
その揺らぎ(Fluctuation)は、存在が自己を保持しながら同時に変化し続けることを意味する。
ゆらぎは、光と影、存在と非存在、生成と崩壊の境界を連続的に往還する現象であり、
この往還運動こそが、零式写真芸術の根幹を成す。
ゆらぎの現象は、量子論的にも、
観測によって現象が確定するという「観測行為=生成行為」の原理と共鳴する。
写真とはまさにこの「観測=生成」の装置であり、
光のゆらぎを時間という薄膜の上に定着させる行為である。
したがって、零式写真芸術は、
光の量子的ゆらぎを“存在の証”として体験する行為であり、
その観測者=作者は、現象の内部に沈潜する“媒介者”として在る。
木 村 尚 樹
fine art photography
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