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IV. 「写す」と「還す」―行為の転倒としての写真

一般的に、写真行為は「写す(to capture)」という方向性を持つ。
だが、零式においてその行為は反転する。
写すとは、現象を奪うのではなく、むしろ世界へ“還す(to return)”ことである。
光を写すことは、光を祈りに変えることであり、
影を捉えることは、その沈黙を抱擁することである。
撮影とは記録ではなく、供犠(sacrifice)であり、
対象を超えた“世界の自己開示”を受け止める儀礼的行為である。
この意味で、写真は宗教的・哲学的な次元において“祈りの形態”をとる。
それは、無を恐れず、無の縁に立つ行為。
存在の「ゆらぎ」を見つめることにより、
人間は「在ること」の意味を再発見する。
木 村 尚 樹
fine art photography
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