「零式写真芸術論」は、写真を通じて“見ること”と“在ること”の同一性を探求する試みである。「零(0)」は“空白”ではなく、“生成の閾値”であり、その地平において、光は祈りとなり、影は沈黙の証明となる。写真とは、世界の断片を奪う行為ではなく、世界をそのままに返すための静かな媒介である。そこには完成も結論もない。あるのは、ただ“いま在る”という連続のゆらぎ。このゆらぎこそが、「零式」の名の意味であり、その無限の地平こそが、Zero-Horizon=零の地平である。