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木 村 尚 樹
fine photographic arts

この稿で言う写真美術とは、写真を通して表現される芸術の下位概念の一部として位置づけられるものであって、作者が規定されることで、「作品」「制作物」などの対外的な評価を意図した、人間の欲求を“美術”として認識、または定義したものである。

 

「零式」の意味するところは、芸術の区分けにおいて限界芸術を基軸に、さらにその限界芸術の根源的境界線上、すなわち地平(現象学でいう、今は見えていないが、必ずそこにあるとされる物。多角的視野における存在の認識。)とも言える無限性を意味する「零≒0」を概念に置く、限界芸術と通底する要素の設えである。

 

限界芸術の境界としての「零」は、「無=0」ではなく、「0」限りになく無に近いが僅かに存在するものを意味する。

また、モチーフとしても、零細≒微細な現象として、その不確定な成り立ちから、僅かながらに無を取り囲む、さらには多様且つ不規則な「蟠り」を包括する概念である「ゆらぎ≒もののあはれ」を以てその要素とする。

 

「零式写真美術」とは、零式様に「ゆらぎ≒もののあはれ」を定義し、それを体現・経験するための設え(システム)であって、写真を芸術として捉えた時に美術品として紡がれる際の概念として据えられる

​©2021 Naoki Kimura

木 村 尚 樹

fine art photography

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